退職代行利用時に上司が自宅訪問した場合の対応は?

退職代行利用時に上司が自宅訪問した場合の対応は?

退職代行を利用した後に上司が自宅へ来ても、対応する義務はありません。ドアを開けず、インターホン越しに「今後の連絡は退職代行業者を通してください」と伝え、帰らない、怒鳴る、脅すなどの行為があれば警察へ相談してください。

ただし、上司が自宅を訪ねたことだけで、直ちに違法になるとは限りません。訪問の目的や態様によって対応が変わるため、無理に対面せず、退職代行業者や警察に状況を共有することが大切です。

退職代行の利用後に上司が自宅訪問したときの対応

まずはドアを開けず、安全を確保してください。次の順番で対応します。

  1. ドアを開けず、インターホンやドア越しに相手を確認する。
  2. 「退職に関する連絡は、退職代行業者を通してください。自宅への訪問はやめてください」と短く伝える。
  3. 会話や説得を続けず、訪問日時、発言、滞在時間、車のナンバーなどを記録する。
  4. 退職代行業者へ、上司が来たことと相手の発言を連絡する。
  5. 帰らない、脅す、ドアをたたく、敷地内に入るなどの行為がある場合は、警察へ相談・通報する。

上司を説得したり、退職理由をその場で説明したりする必要はありません。身の危険を感じる場合は、会話や撮影よりも、家族や近隣の人がいる場所への避難を優先してください。

インターホンやドア越しに伝える内容

相手に伝える内容は、事実と要望だけに絞ります。たとえば、次のように伝えます。

  • 「退職に関する連絡は退職代行業者を通してください」
  • 「自宅への訪問には対応しません」
  • 「これ以上の訪問はやめてください」
  • 「帰らない場合は警察へ連絡します」

相手が「少し話すだけ」「会社の物を返してほしい」などと言っても、ドアを開けて対応する必要はありません。会社の備品の返却や書類の受け渡しが必要な場合も、退職代行業者を通じて返却方法を決められます。

上司の自宅訪問は違法になるのか

自宅を訪問したという事実だけで、直ちに違法とは判断できません。訪問の回数、滞在時間、発言、敷地や建物への立ち入り、帰るよう求めた後も居続けたかなどによって、問題の程度が変わります。

住居や敷地に無断で入り、退去を求めても立ち去らない場合は、住居侵入等が問題になる可能性があります。また、脅迫、暴行、物を壊す行為、執拗なつきまといなどがあれば、別の犯罪やトラブルに該当する可能性があります。

ただし、個別の行為が犯罪に当たるかは、訪問時の状況や証拠を踏まえて警察や法律専門家が判断します。「上司だから違法」「一度来ただけで必ず逮捕される」とは断定できません。

帰らない・怒鳴る・脅す場合は警察に連絡する

帰るよう伝えても帰らない、ドアをたたく、怒鳴る、脅す、無理に入ろうとするなど、危険を感じる場合は110番通報を検討してください。今すぐの危険はないものの、訪問が繰り返されている場合は、最寄りの警察署や警察相談窓口へ相談します。

通報や相談では、次の情報を伝えると状況を説明しやすくなります。

  • 訪問した日時と回数
  • 相手の氏名、会社名、車のナンバー
  • インターホンや会話で言われた内容
  • 帰るよう求めたか、その後も滞在したか
  • 録音、録画、メール、着信履歴などの証拠

危険が迫っている場合は、相手とのやり取りを続けず、110番通報してください。けがをした場合や、身体の危険がある場合は、必要に応じて119番にも連絡します。

証拠として残しておくもの

訪問が一度で終わる場合でも、記録を残しておくと、退職代行業者や警察、法律専門家に相談するときに役立ちます。

  • 訪問の日時、滞在時間、訪問者の人数
  • インターホンの録画や防犯カメラの映像
  • 会話の録音や、相手が残した書面
  • 電話番号、メール、SNSなどでの連絡履歴
  • 訪問後に送られてきたメッセージ

録音や録画をする場合も、危険を冒して相手に近づく必要はありません。自宅内から安全に記録できる範囲で行い、元のデータを編集せず保存してください。

退職代行業者には何を依頼できるか

退職代行業者には、上司の訪問日時や発言を伝え、自宅へ来ないよう会社側へ連絡してもらいます。会社との連絡窓口を退職代行業者に一本化できるかも確認してください。

ただし、退職代行業者ができる行為は、業者の種類によって異なります。退職の意思を伝えるだけの業者と、労働組合、弁護士では、会社との交渉や法律上の対応に違いがあります。

  • 一般の退職代行業者:本人に代わって退職の意思を伝えることが中心です。
  • 労働組合が運営する退職代行:組合員として、一定の労働条件について団体交渉を行える場合があります。
  • 弁護士:退職に伴う未払い賃金、損害賠償請求、ハラスメントなどの法律問題について、状況に応じた対応を依頼できます。

上司の訪問が続いている、脅迫や暴力がある、未払い賃金などの請求もしたいという場合は、退職代行業者だけでなく、弁護士や警察への相談が必要になることがあります。

会社の人が自宅に来ないようにするための事前対応

退職代行を申し込むときに、自宅訪問を心配していることを担当者へ伝えておきましょう。会社へ通知する連絡先を退職代行業者に確認し、本人や家族へ直接連絡しないよう求めてもらいます。

また、家族や同居人にも「会社関係者が来てもドアを開けず、退職代行業者へ連絡してほしい」と共有しておくと、突然の訪問時に対応を統一できます。勤務先に住所を知られている場合でも、住所を知られていることだけで訪問を防げるとは限らないため、事前に対応方法を決めておくことが重要です。

退職代行利用後の自宅訪問でやってはいけない対応

  • 相手を確認するために、無防備にドアを開ける
  • 相手の挑発に応じて大声で言い返す
  • 一人で外へ出て、相手と話し合う
  • 危険を感じているのに、証拠を撮るため近づく
  • 退職代行業者への連絡だけで済ませ、危険な状態を警察へ通報しない

特に、相手が複数人いる、酒に酔っている、暴力的な発言をしている、玄関を開けようとしているといった場合は、本人だけで解決しようとしないでください。

退職代行利用後に上司が自宅へ来た場合の判断

上司が自宅へ来た場合は、まずドアを開けず、「今後は退職代行業者を通してください」「自宅へ来ないでください」と伝えます。そのうえで訪問の状況を記録し、退職代行業者へ報告してください。

帰らない、脅す、敷地や住居へ入ろうとするなどの危険がある場合は、退職の話し合いより安全確保を優先し、110番通報します。訪問が繰り返される場合や、未払い賃金など別の問題もある場合は、弁護士や警察への相談も検討してください。