研修中でも、退職代行を利用して退職手続きを進めることは可能です。研修中であることだけを理由に、退職できなくなるわけではありません。ただし、雇用期間の定めがある契約か、期間の定めがない契約かによって、退職できる時期や手続きが変わります。
研修中でも退職代行を利用できる理由
研修中でも、会社と雇用契約を結んで働いている場合は、すでに労働者として扱われます。そのため、研修が終わるまで退職できないという決まりが当然に成立するわけではありません。
退職代行は、本人に代わって会社へ退職の意思を伝えるサービスです。退職届の提出方法や貸与品の返却方法などを確認してもらえる場合もあります。
ただし、退職代行を使えばどのような契約でも即日で辞められる、という意味ではありません。退職できる時期は、雇用契約の内容や会社との話し合いによって決まります。
研修中に退職できるかは雇用契約で変わる
まず、雇用契約書や労働条件通知書で「契約期間」を確認してください。研修中かどうかよりも、期間の定めがある契約かどうかが重要です。
| 雇用契約の種類 | 退職の考え方 |
|---|---|
| 期間の定めがない契約 | 法律上の退職手続きを進められます。退職日までの期間は、会社との合意や就業規則なども確認が必要です。 |
| 期間の定めがある契約 | 契約期間の途中で辞めるには、やむを得ない事情などが必要になる場合があります。契約満了まで待つのが原則となることもあります。 |
| 試用期間中の契約 | 試用期間だから退職できないわけではありません。試用期間の定めと、雇用契約の期間は分けて確認します。 |
「研修期間3か月」と書かれていても、それが雇用契約の期間なのか、単なる教育期間なのかは会社ごとに異なります。名称だけで判断せず、契約書の契約期間欄を確認しましょう。
期間の定めがない雇用なら退職できる可能性が高い
期間の定めがない雇用契約では、労働者から退職の意思を伝えることができます。民法上は、無期雇用契約について、退職の申し入れから原則2週間が経過すると契約が終了するとされています。
一方で、会社の就業規則に「退職の申し出は1か月前まで」などの定めがある場合があります。実際の退職日をいつにできるかは、契約内容、就業規則、会社との合意によって変わるため、退職代行に依頼する前に確認しておくと安心です。
会社が「研修費を払え」「違約金を払わなければ辞めさせない」などと主張してきた場合は、契約書や会社からの請求内容を保存してください。退職代行業者が対応できる範囲を超える可能性があるため、金銭請求や損害賠償などの争いがある場合は、弁護士への相談が必要になることがあります。
有期契約の研修中は即時退職できないことがある
契約社員やアルバイトなどで契約期間が決まっている場合、契約期間の途中で自由に退職できるとは限りません。期間の途中で退職するには、病気や家族の事情などのやむを得ない理由が必要になる場合があります。
ただし、会社が退職に同意すれば、契約期間の途中でも退職できます。また、契約期間が1年を超える有期契約では、一定の条件を満たす労働者が契約開始から1年を経過した後に退職できる制度があります。
契約期間、更新の有無、退職に関する規定を確認しても判断できない場合は、退職代行業者だけでなく、労働基準監督署や自治体の労働相談窓口、弁護士などにも相談しましょう。
退職代行を使うときに確認すること
退職代行を利用する前に、次の情報を整理しておくと、退職日や会社への連絡内容を確認しやすくなります。
- 雇用契約書や労働条件通知書の契約期間
- 試用期間や研修期間の定め
- 就業規則にある退職の申し出期限
- 給与の締め日と支払日
- 制服、社員証、パソコン、鍵などの貸与品
- 有給休暇の残日数
- 会社から受けた研修費や立替金に関する説明
雇用契約書が手元にない場合でも、給与明細、入社時のメール、会社から渡された書類などを保存しておきましょう。会社名、担当者、入社日、研修を受けた日、これまでの給与支給状況も整理しておくと、相談時に状況を説明しやすくなります。
退職代行業者と弁護士では対応できる範囲が違う
一般の退職代行業者は、本人に代わって退職の意思を伝えることはできても、会社と退職条件を交渉したり、未払い賃金や損害賠償の請求を代理したりできるとは限りません。
たとえば、会社が「退職日を変更しろ」「研修費を払え」「給与を支払わない」と主張し、交渉が必要になった場合は、弁護士に依頼するほうが適切なことがあります。依頼前に、次の対応が含まれるかを確認してください。
- 会社への退職意思の伝達だけか
- 退職日や有給休暇について交渉できるか
- 未払い給与や残業代の請求に対応できるか
- 会社から損害賠償などを請求された場合に対応できるか
- 追加料金が発生する条件は何か
退職代行を選ぶときは、料金の安さだけでなく、自分の問題が「意思を伝えるだけ」で終わるのか、それとも会社との交渉が必要なのかで判断しましょう。
研修中に退職代行を利用する流れ
- 雇用契約を確認する。契約期間、研修期間、試用期間、退職の申し出期限を確認します。
- 退職代行へ状況を伝える。入社日、研修中であること、契約期間、会社からの請求や引き止めの有無を正確に伝えます。
- 退職希望日と会社への連絡内容を決める。即日退職を希望する場合でも、法律上または契約上すぐに退職できるかは別に確認します。
- 貸与品や私物の返却方法を決める。郵送する場合は、追跡できる方法を使い、発送記録を残します。
- 会社から届く書類を確認する。離職票、源泉徴収票、雇用保険に関する書類など、必要な書類の受け取り方法を確認します。
会社から連絡が来ても対応しない方針にする場合は、退職代行との契約内容を確認してください。会社からの請求や書類については、内容を確認せず放置せず、必要に応じて弁護士などへ相談します。
研修中の退職で注意したいケース
研修費や違約金を請求されている
「研修を受けたから、辞めるなら費用を全額払え」と言われても、請求が有効かどうかは、研修の内容、契約、費用の性質などによって異なります。あらかじめ金額を決めた違約金を支払わせる契約は、労働関係の法律上問題となる可能性があります。
請求書、契約書、会社とのメッセージを保存し、退職代行業者だけで判断せず、弁護士や公的な労働相談窓口に相談してください。
給与が支払われていない
研修中でも、雇用契約に基づいて働いた時間の賃金が発生することがあります。研修が業務の一部として行われていたのか、参加が義務だったのか、実際にどの程度拘束されていたのかで判断が分かれるため、勤務日や研修時間を記録しておきましょう。
退職届を受け取ってもらえない
会社が退職届を受け取らない場合でも、提出方法や退職日が適切であれば、直ちに退職できなくなるとは限りません。退職届を内容証明郵便などで送る方法もありますが、雇用契約や退職日によって扱いが変わるため、送付前に専門家へ確認すると安全です。
研修中の退職で最初に確認すること
研修中でも退職代行は利用できますが、「研修中だから即日で退職できる」とは限りません。最初に雇用契約書や労働条件通知書を確認し、契約期間の定め、退職の申し出期限、研修費などの請求の有無を整理してください。
期間の定めがない契約なら、法律上の退職手続きを進められる可能性があります。有期契約の途中、金銭請求、未払い給与、損害賠償などがある場合は、交渉や法的判断に対応できる弁護士への相談を検討しましょう。







