退職代行に内定辞退を依頼できる?

退職代行に内定辞退を依頼できる?

退職代行に内定辞退の連絡を依頼できる場合はあります。ただし、退職代行業者のすべてが対応しているわけではなく、内定辞退の意思を伝えるだけなのか、会社との交渉まで含むのかで依頼先も変わります。

内定辞退は、入社後の「退職」とは別の手続きです。依頼する前に、業者が内定辞退に対応しているか、会社との交渉が必要になった場合に対応できる資格があるかを確認してください。

退職代行に内定辞退を依頼できるケース

依頼できるのは、退職代行業者が「入社前の内定辞退」をサービスの対象にしている場合です。業者から会社へ、内定を辞退する本人の意思や連絡先などを伝えてもらう形が一般的です。

ただし、退職代行という名称でも、対応範囲は業者ごとに異なります。申し込み前に、次の点を確認しましょう。

  • 入社前の内定辞退に対応しているか
  • 電話だけでなく、メールや書面の連絡にも対応するか
  • 内定辞退の意思を伝えるだけか、会社との交渉も行うか
  • 会社から本人へ連絡しないよう伝えられるか
  • 追加料金や、辞退できなかった場合の返金条件があるか

「退職代行なら必ず内定辞退を代わりに処理できる」とは限りません。サービスの対象外であれば、自分で会社に連絡する必要があります。

内定辞退と退職は何が違う?

入社前の内定辞退は、すでに働き始めた人が雇用契約を終了させる「退職」とは異なります。内定の内容や、承諾書を提出したか、入社日が決まっているかなどによって、契約関係や会社とのやり取りが変わることがあります。

内定の承諾によって、始期や条件付きの労働契約が成立していると評価される場合もあります。そのため、内定辞退を申し出た後に、会社から損害賠償や費用の支払いを求められた場合は、単なる連絡代行の範囲を超える可能性があります。

入社後の退職については、期間の定めがない雇用契約であれば、民法627条に退職の申し入れに関する規定があります。ただし、この規定を入社前の内定辞退にそのまま当てはめられるとは限りません。詳しくはe-Gov法令検索の民法で条文を確認できます。

内定辞退の連絡だけなら一般業者でも依頼できることがある

退職代行業者が本人に代わって内定辞退の意思を伝えるだけであれば、一般業者でも対応していることがあります。ただし、会社と条件を話し合ったり、損害賠償の支払いを断ったり、和解内容を決めたりする交渉は別の問題です。

弁護士でない者が、報酬を受けて法律上の争いについて代理や和解などを行うことは、弁護士法72条との関係で制限されます。交渉が必要になりそうな場合は、弁護士が対応する退職代行、または弁護士へ相談できるサービスを選ぶ必要があります。根拠となる規定はe-Gov法令検索の弁護士法で確認できます。

状況 依頼先の考え方
辞退の意思を会社に伝えてほしい 内定辞退に対応する一般の退職代行でも対応できる場合がある
会社からの連絡を止めたい 対応可能か、連絡方法や範囲を事前に確認する
損害賠償や違約金を請求された 弁護士への相談を検討する
会社と和解したい、条件を交渉したい 弁護士対応のサービスを選ぶ

内定辞退を依頼する前に準備するもの

依頼前に、内定や入社に関する資料をそろえておくと、業者や弁護士が状況を確認しやすくなります。

  • 会社名、担当部署、担当者名
  • 内定通知書や採用通知の内容
  • 内定承諾書を提出した日と、その内容
  • 予定されている入社日
  • 雇用契約書や労働条件通知書
  • 会社から届いたメールやメッセージ
  • 研修、制服、備品、資格取得費用などの案内

特に、会社が費用の返還や違約金について述べている場合は、書面やメールを削除せず保存してください。自分に不利だと思う内容でも、事実関係を確認するために必要です。

内定辞退を依頼する手順

  1. 業者の公式なサービス内容で、入社前の内定辞退に対応しているか確認する。
  2. 連絡代行だけでなく、会社との交渉にも対応できるか確認する。
  3. 内定通知書、承諾書、入社日、会社とのやり取りを業者へ伝える。
  4. 料金、追加費用、返金条件、会社から本人へ連絡が来た場合の対応を確認する。
  5. 依頼後は、会社から届いた連絡を自己判断で交渉せず、依頼先へ共有する。

会社から「違約金を払ってほしい」「採用費用を請求する」「辞退は認めない」などと伝えられた場合、一般の退職代行業者がその場で法的な判断や交渉をするとは限りません。請求の根拠や金額に納得できないときは、弁護士に資料を見せて相談してください。

自分で連絡する場合の伝え方

業者を使わずに連絡する場合は、内定を辞退する意思を簡潔に伝えます。詳しい理由を長く説明するよりも、辞退すること、迷惑をかけることへのおわび、これまでの対応へのお礼を明確にすることが大切です。

たとえば、次のように伝えられます。

「このたびいただいた内定について、慎重に検討した結果、辞退させていただきたくご連絡しました。お時間をいただいたにもかかわらず、このような結果となり申し訳ありません。何卒ご理解くださいますようお願いいたします。」

電話で伝えた場合でも、必要に応じてメールや書面で辞退の意思を残しておくと、いつ、何を伝えたかを確認しやすくなります。

内定辞退を退職代行に依頼するときの判断

連絡すること自体が難しいだけなら、内定辞退に対応する退職代行を利用できる場合があります。一方、会社との交渉、費用請求、違約金、損害賠償などが関係するなら、弁護士対応のサービスや弁護士への相談が適しています。

最初に、内定通知書や内定承諾書を確認し、入社日と会社からの請求の有無を整理してください。そのうえで「意思を伝えるだけでよいのか」「交渉が必要なのか」を分けて依頼先を選ぶと、対応範囲の行き違いを防げます。