育休中に退職代行を利用して退職できる?

育休中に退職代行を利用して退職できる?

育休中でも、退職代行を利用して退職することは可能です。ただし、退職できるかどうかは、無期雇用か有期雇用か、退職の申し出方法、就業規則、退職金や育児休業給付の扱いなどによって変わります。

退職代行は、本人に代わって退職の意思を会社へ伝えるサービスです。会社との交渉や、未払い賃金・慰謝料の請求まで任せられるかは、依頼先が一般業者か弁護士かによって異なります。

育休中に退職代行を利用して退職できる理由

育児休業中であっても、労働者が退職すること自体は禁止されていません。会社に出勤していない期間でも、雇用契約が続いているため、退職の意思を伝えて所定の手続きを進められます。

無期雇用の従業員は、原則として退職の申し出から2週間が経過すると退職できます。もっとも、就業規則に「退職希望日の1か月前までに申し出る」などの定めがある場合は、会社とのトラブルを避けるため、規則の内容も確認してください。

退職代行を使ったからといって、退職の効力が強くなったり、即日で必ず退職できたりするわけではありません。退職代行は、本人に代わって連絡する手段の一つです。

雇用契約の種類によって退職の条件が変わる

まず、自分の雇用契約が無期契約か有期契約かを確認してください。契約期間の定めがあるかどうかで、退職できる時期や条件が異なります。

雇用契約 退職の考え方
無期雇用 原則として、退職の申し出から2週間で退職できます。就業規則の申し出期限も確認します。
有期雇用 原則として契約期間の途中で自由に退職することはできません。会社との合意や、やむを得ない事情などが必要になる場合があります。

1年を超える期間の有期労働契約について、契約期間の初日から1年を経過した後は、一定の条件でいつでも退職できる場合があります。ただし、契約内容や対象外となる働き方もあるため、雇用契約書を確認してください。

有期契約で育休中に退職したい場合は、退職代行業者が会社と交渉できるかが重要です。一般の退職代行業者は、退職の意思を伝えることはできても、会社との交渉を行うと非弁行為に当たるおそれがあります。退職時期の交渉や未払い賃金の請求を任せたい場合は、弁護士への相談が必要です。

育休中の退職で確認したいこと

育児休業給付への影響

退職すると、雇用保険の被保険者資格を失うため、育児休業給付はその後も受け取り続けられるとは限りません。

育児休業給付には、育児休業後に職場へ復帰する予定があることなどの要件があります。最初から退職するつもりで育児休業を取得していた場合や、受給中に退職する場合は、支給対象となる期間や返還の要否が問題になることがあります。

退職日や、育児休業給付を受け取った期間によって扱いが変わるため、退職代行へ依頼する前に、会社の担当者やハローワークへ確認してください。すでに支給された給付金についても、自己判断で返還の必要がないと決めつけないことが大切です。

社会保険料や扶養の手続き

退職すると、健康保険と厚生年金の資格を失います。退職後は、状況に応じて次のいずれかの手続きが必要です。

  • 転職先の健康保険・厚生年金へ加入する
  • 健康保険の任意継続を申し込む
  • 国民健康保険へ加入する
  • 家族の健康保険の被扶養者になる
  • 国民年金へ切り替える

退職日や扶養に入る条件によって必要な手続きが変わります。会社から離職票、健康保険資格喪失証明書、源泉徴収票などを受け取る必要がある場合は、退職代行を通じて発行を依頼できます。

会社からの貸与品や書類

育休中でも、健康保険証または資格確認書、社員証、パソコン、スマートフォン、制服などの返却が必要になることがあります。退職代行へ依頼する前に、手元にある会社の物を一覧にしておくと、返却漏れを防げます。

また、退職後の生活や転職に必要な書類として、次のものを確認しておきましょう。

  • 離職票
  • 雇用保険被保険者証
  • 源泉徴収票
  • 健康保険資格喪失証明書
  • 退職証明書

すべての書類が必ず必要になるわけではありません。失業給付の手続きや転職先への提出など、目的に応じて必要な書類を会社へ依頼します。

退職代行を使う前に確認すること

育休中の退職では、退職の意思を伝えるだけでなく、給付金や保険の手続きまで考えてから依頼すると、退職後の混乱を減らせます。

  1. 雇用契約書で、無期契約か有期契約かを確認する
  2. 就業規則で退職の申し出期限を確認する
  3. 退職希望日と、育児休業給付の受給状況を整理する
  4. 返却する物と、会社から受け取る書類を書き出す
  5. 退職代行が対応できる範囲を確認する
  6. 退職後の健康保険と年金の手続きを確認する

特に、未払い賃金、退職日の交渉、損害賠償請求、会社からの強い引き止めがある場合は、一般の退職代行ではなく弁護士への相談を検討してください。

育休中の退職で会社から損害賠償を請求される?

無期雇用で、法律上認められた手続きにより退職するだけであれば、育休中に退職したことだけを理由として、直ちに損害賠償が認められるとは限りません。

一方で、有期契約の途中で一方的に退職した場合や、会社から借りた物を返却しない場合などは、別の問題が生じる可能性があります。会社から損害賠償を求められた場合は、書面の内容を確認し、必要に応じて弁護士へ相談してください。

なお、育児休業を取得したことを理由に、解雇、降格、減給などの不利益な扱いをすることは問題になる可能性があります。退職を急がず、会社から受けた発言や通知を保存しておくと、後で事実関係を確認しやすくなります。

育休中の退職代行はどのような人に向いているか

会社へ自分で連絡することが難しい、退職を引き止められている、育児中で会社とのやり取りに時間をかけられない人には、退職代行が選択肢になります。

ただし、退職日を会社と調整したい、未払い賃金を請求したい、ハラスメントについて慰謝料を求めたいといった場合は、対応できる資格を持つ依頼先を選ぶ必要があります。

単に退職の意思を伝えるだけでよいのか、会社との交渉まで必要なのかを先に整理し、その範囲に合う退職代行を選んでください。

まとめ

育休中でも退職代行を利用して退職できます。ただし、無期雇用か有期雇用かによって退職の条件が変わり、育児休業給付、健康保険、年金、会社から受け取る書類にも手続きが必要です。

最初に雇用契約書と就業規則を確認し、給付金や退職後の保険への影響を確認してください。会社との交渉や金銭請求が必要な場合は、一般業者ではなく弁護士に依頼できるかを確認しましょう。