退職代行を弁護士に依頼するメリットや費用は?

退職代行を弁護士に依頼するメリットや費用は?

退職代行を弁護士に依頼する主なメリットは、退職の意思を伝えるだけでなく、未払い賃金や有給休暇、退職条件などについて会社と交渉できることです。一方、料金は法律事務所ごとに異なり、依頼内容によって追加費用が発生する場合もあります。

単に退職の意思を伝えてもらいたいだけなら、弁護士以外の退職代行サービスが選択肢になることもあります。ただし、会社との交渉や法的な請求まで任せたい場合は、弁護士への依頼を検討する必要があります。

退職代行を弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼すると、退職の連絡に加えて、依頼者の代理人として会社と法律上の問題を交渉できる点が大きなメリットです。

会社と退職条件を交渉できる

弁護士は、依頼者の代理人として、会社に対して退職日、有給休暇の取得、未払い賃金の支払い、退職金、貸与品の返却方法などを交渉できます。

一方、弁護士ではない退職代行業者は、退職の意思を伝えることはできても、本人に代わって会社と条件を交渉することはできません。交渉を依頼したい場合は、運営元が弁護士かどうかを確認することが重要です。

未払い賃金や残業代の請求を依頼できる

給料、残業代、退職金などが支払われていない場合、弁護士に請求手続きを依頼できる可能性があります。会社が支払いに応じないときは、内容証明郵便、労働審判、訴訟などの手続きが選択肢になることもあります。

ただし、請求できる金額や見込みは、雇用契約書、給与明細、勤務記録、就業規則などの資料によって変わります。退職代行を依頼すれば、未払い賃金が必ず回収できるわけではありません。

会社から損害賠償を請求された場合に対応できる

退職を申し出た後に、会社から損害賠償や違約金を請求されるケースがあります。会社の請求が認められるかどうかは、雇用契約の内容や退職の経緯、実際に発生した損害などによって判断されます。

弁護士であれば、会社から届いた書面の内容を確認し、反論や交渉、必要な手続きについて対応できます。会社から金銭を請求されている場合は、自己判断で支払ったり、書面に署名したりする前に相談するとよいでしょう。

退職に関する法的な見通しを確認できる

期間の定めがない雇用契約では、労働者は原則として退職を申し入れてから2週間が経過すると退職できます。これは民法627条に定められています。民法

ただし、月給制など給与の計算期間による扱い、期間の定めがある有期雇用契約、就業規則の内容などによって確認が必要です。契約期間の途中で退職する場合には、やむを得ない事由などが問題になることもあります。

弁護士に依頼すれば、自分の雇用契約や退職希望日を前提に、どのように進めるかを確認できます。

弁護士による退職代行の費用

弁護士による退職代行の費用に全国一律の金額はありません。法律事務所ごとに料金体系が異なり、退職の連絡だけを依頼するのか、会社との交渉や未払い賃金の請求まで依頼するのかによっても変わります。

そのため、広告などに表示された基本料金だけで総額を判断せず、依頼前に見積もりを確認する必要があります。

確認したい主な費用項目

費用項目 内容
相談料 依頼前の法律相談にかかる費用。無料相談に対応しているかは法律事務所ごとに異なります。
着手金 依頼を開始するときに支払う費用。結果にかかわらず発生する契約もあります。
退職代行の基本費用 会社への退職意思の通知など、基本的な対応にかかる費用です。
交渉費用 有給休暇、未払い賃金、退職日などの交渉を依頼する場合に追加されることがあります。
成功報酬 未払い賃金や残業代などを回収できた場合に、回収額に応じて発生することがあります。
実費 郵送費、印紙代、裁判所に申し立てる場合の費用などです。何が含まれるかを確認します。

上表の項目がすべて請求されるとは限りません。また、基本料金に交渉費用が含まれる事務所もあれば、別料金となる事務所もあります。

総額を確認する方法

依頼前に、次の点を法律事務所へ確認してください。

  • 退職の意思を伝えるだけの場合の料金
  • 会社との交渉を含めた場合の料金
  • 未払い賃金や残業代の請求を依頼した場合の追加費用
  • 成功報酬が発生する条件と計算方法
  • 会社から連絡が来た場合の対応が料金に含まれるか
  • 裁判や労働審判に進んだ場合の別料金
  • キャンセルした場合や退職できなかった場合の扱い
  • 税込みか税別か、実費が別にかかるか

特に「基本料金のみ」と表示されている場合は、その料金でどこまで対応してもらえるのかを確認しましょう。基本料金だけでは、未払い賃金の請求や裁判手続きまで含まれない可能性があります。

弁護士以外の退職代行サービスとの違い

弁護士と弁護士以外の退職代行サービスでは、会社にできる対応の範囲が異なります。

対応内容 弁護士 弁護士以外の退職代行サービス
退職意思を会社に伝える 可能 可能
退職日の交渉 可能 法律上の交渉はできない
有給休暇の取得交渉 可能 法律上の交渉はできない
未払い賃金の請求交渉 可能 法律上の交渉はできない
損害賠償請求への対応 可能 対応範囲に限界がある

「交渉」とは、会社に希望を伝えるだけでなく、本人に代わって法律上の問題について合意を目指す行為です。弁護士以外の業者が交渉を行うと、非弁行為にあたるおそれがあります。

退職の意思を伝えるだけで問題が解決しそうな場合は、弁護士以外のサービスも比較対象になります。会社が退職を認めない、未払い賃金がある、損害賠償を示唆されているといった場合は、弁護士への相談が向いています。

弁護士への依頼が向いているケース

次のような事情がある場合は、退職代行だけでなく、交渉や請求まで対応できる弁護士を選ぶとよいでしょう。

  • 会社が退職を認めない、または強く引き止めている
  • 有給休暇を取得してから退職したい
  • 残業代や給与が支払われていない
  • 退職金が支払われるか確認したい
  • 会社から損害賠償や違約金を請求されている
  • 退職後に会社から連絡が来ないよう交渉したい
  • 契約社員などで、契約期間の途中に退職したい
  • パワハラなどの問題について慰謝料請求も検討している

ただし、パワハラの慰謝料請求や残業代請求を依頼する場合は、退職代行の基本料金とは別に費用がかかることがあります。依頼する範囲を決めたうえで、見積書を確認してください。

依頼前に準備しておく資料

弁護士が退職の可否や請求の見通しを判断するため、次の資料を準備しておくと相談が進みやすくなります。

  • 雇用契約書や労働条件通知書
  • 就業規則
  • 給与明細、賞与明細、退職金規程
  • タイムカードや勤務時間が分かる記録
  • 会社とやり取りしたメールやメッセージ
  • パワハラなどの録音、メモ、診断書
  • 会社から届いた請求書や通知書

すべての資料がそろっていなくても相談できる場合があります。特に会社から書面が届いている場合は、捨てずに保管し、相談時に提示してください。

弁護士を選ぶときの確認ポイント

弁護士に依頼する場合は、料金だけでなく、対応範囲と契約内容を確認することが大切です。

  1. 退職の通知だけでなく、会社との交渉にも対応するか確認する。
  2. 未払い賃金、残業代、退職金の請求が別契約か確認する。
  3. 基本料金、着手金、成功報酬、実費を含む見積もりを受け取る。
  4. 会社から連絡が来た場合の対応範囲を確認する。
  5. 有期雇用契約や公務員など、自分の雇用形態に対応できるか確認する。
  6. 委任契約書を読み、依頼する業務と追加費用を確認してから契約する。

「必ず退職できる」「会社から連絡が来なくなる」など、結果を断定する説明には注意が必要です。退職の可否や会社との交渉結果は、契約内容や事実関係によって変わります。

退職代行を弁護士に依頼するかの判断

退職の意思を伝えるだけなら、弁護士以外のサービスも含めて比較できます。会社との交渉、未払い賃金の請求、損害賠償請求への対応が必要なら、弁護士への依頼が適しています。

費用は一律ではないため、まずは自分が依頼したい内容を「退職の通知だけ」「有給休暇の交渉も必要」「未払い賃金も請求したい」のように整理し、対応範囲と総額を見積もってもらいましょう。