退職代行で即日退職する場合、有給休暇は使える?

退職代行で即日退職する場合、有給休暇は使える?

退職代行を使っても、有給休暇を使える場合があります。ただし、「今日で雇用契約を終了する即日退職」と「今日を最後の出勤日にして、有給休暇を消化した後に退職する場合」は別です。雇用契約が今日で終わるなら、退職後に有給休暇を使うことはできません。

退職代行で即日退職するときに有給休暇を使えるケース

有給休暇を使えるのは、退職日まで雇用契約が続き、その期間に有給休暇を取得する場合です。たとえば、退職代行を利用した日を最後の出勤日にし、残りの有給休暇を取得した後の日を退職日に設定する方法があります。

この場合、会社へ出勤するのは利用日までですが、有給休暇の取得期間中は雇用契約が続いています。したがって、一般に次のような状態になります。

項目 扱い
退職代行を利用した日 最後の出勤日
その翌日以降 有給休暇を取得する期間
有給休暇の終了日後 退職日

ただし、実際に使える日数は、残っている有給休暇の日数、退職日、会社への申出内容などによって変わります。

「即日退職」と「即日で出勤しない」は違う

即日退職とは、雇用契約をその日に終了させることです。一方、退職日を2週間後などに設定し、その日まで有給休暇を使って出勤しない方法は、厳密には「即日退職」ではありません。

期間の定めがない雇用契約では、労働者が退職を申し出てから退職日まで一定期間が必要になることがあります。民法上は、原則として退職の申入れから2週間が経過すると退職できるとされています。ただし、月給制などでは賃金の計算期間との関係で扱いが異なることがあるため、契約内容や申出の時期の確認が必要です。

この期間を有給休暇に充てれば、実際には退職代行を利用した日以降、出勤せずに退職できる可能性があります。つまり、最後の出勤日は即日でも、退職日は後日という形です。

今日付けで退職する場合、有給休暇はどうなるか

会社との合意などにより、雇用契約を退職代行の利用日付で終了させる場合、その日以降に有給休暇を取得することはできません。有給休暇は在職中に取得する制度だからです。

たとえば、有給休暇が10日残っていても、退職日が今日であれば、翌日から10日間を有給休暇に変更することはできません。退職後に残った有給休暇を使ったり、会社に取得日を指定してもらったりすることもできません。

なお、未使用の有給休暇を会社が買い取ることは、法律上の当然の義務ではありません。退職時の買い取りに応じるかどうかは会社の対応によるため、買い取りを前提に退職手続きを進めないよう注意が必要です。

有給休暇を使うための主な条件

有給休暇を使うには、まず有給休暇が付与されていることが必要です。一般的には、雇入れの日から6か月継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤している場合に、法律上の年次有給休暇が付与されます。パートやアルバイトでも、勤務日数などの条件に応じて付与されることがあります。

確認する項目は次のとおりです。

  • 有給休暇が何日残っているか
  • 有給休暇の取得可能日が退職日より前にあるか
  • 雇用契約の期間に定めがあるか
  • 給与の締め日や退職に関する社内規定がどうなっているか
  • すでに欠勤扱いとなる日がないか

残日数は、給与明細、勤怠システム、就業規則、会社から交付された有給休暇の通知などで確認できます。ただし、会社が示した残日数に疑問がある場合は、付与日と取得履歴もあわせて確認してください。

会社は有給休暇の申出を拒否できるのか

有給休暇は、労働者が希望する時季に取得するのが原則です。会社には、事業の正常な運営を妨げる場合に取得時季を変更する権利がありますが、単に「退職予定だから」という理由だけで、残っている有給休暇を一律に使えないとすることは適切ではありません。

一方で、退職日を過ぎた日に有給休暇を変更することはできません。退職日が近い場合は、会社が別の日を指定できる期間が限られるため、実際の調整方法が問題になることがあります。退職日と有給休暇の取得日を明確にして申し出ることが大切です。

退職代行に伝える内容

退職代行へ依頼する際は、「今日から出勤したくない」とだけ伝えず、有給休暇を使いたい希望と残日数を伝えてください。少なくとも次の内容を整理しておくと、希望を伝えやすくなります。

  1. 最後に出勤したい日
  2. 有給休暇の残日数
  3. 有給休暇を取得したい期間
  4. 希望する退職日
  5. 会社から有給休暇について受けた説明

たとえば、「本日を最後の出勤日とし、残っている有給休暇を取得した後の日を退職日にしたい」という形で希望を伝えます。退職日を今日にするのか、有給休暇の終了後にするのかで結果が変わるため、ここを曖昧にしないことが重要です。

退職代行業者によってできることが異なる

退職代行サービスは、運営主体によって会社と交渉できる範囲が異なります。一般の退職代行業者は、退職の意思や有給休暇の希望を伝えることはできても、会社と条件を交渉することはできない場合があります。

有給休暇の取得日、退職日、未払い賃金などについて会社との交渉が必要になりそうな場合は、労働組合が運営する退職代行や、弁護士による退職代行など、交渉を扱えるサービスかを確認してください。サービスの説明に「有給休暇の交渉が可能」と書かれていても、対応範囲や追加料金は事前に確認が必要です。

有給休暇を使って退職できるか判断するポイント

退職代行で有給休暇を使えるかは、次の順番で判断できます。

  1. 有給休暇の残日数を確認する
  2. 今日付けで雇用契約を終了させたいのか、今日を最後の出勤日にしたいのかを決める
  3. 有給休暇を取得する期間を退職日より前に設定する
  4. 雇用契約の期間や退職の申出期間を確認する
  5. 依頼する退職代行が会社との交渉に対応できるか確認する

「今日から出勤しない」ことを優先するなら、即日退職ではなく、退職日まで有給休暇を使う方法が現実的な場合があります。反対に、会社との合意などで今日付けの退職が確定した場合は、残った有給休暇を後から取得することはできません。

結論として、退職代行を利用しても有給休暇は使えますが、有給休暇を使うには退職日まで在職している必要があります。最初に、有給休暇の残日数と希望する退職日を確認し、「今日を最後の出勤日にする」のか「今日付けで退職する」のかを分けて考えてください。